楽園のあらすじネタバレ感想
wowowドラマ『楽園』全6話を鑑賞しました。
宮部みゆき原作で『模倣犯』の9年後を描いた犯罪ものです。
主演は仲間由紀恵、共演には小林薫、松田美由紀、黒木瞳、金子ノブアキなど。
あらすじは、娘殺人や変態監禁者を通して家族の闇を描いたお話。
小林薫と松田美由紀夫妻の住まいが火事になり、夫妻は警察に、16年前に殺した長女の遺体が床下にある、と告白します。
『模倣犯』事件でトラウマを抱えているライターの仲間由紀恵のもとに、「息子が超能力を持っているかも」と相談しにくる女性。
誰かの記憶を絵にする、という能力です。
その絵の一つに、小林薫宅の絵がありました。
少年に会い、後日、仲間由紀恵を訪ねようとする少年は、トラックに轢かれて死んでしまいます。
小林薫は世間の注目を浴びてしまうものの、時効により不起訴、妻と身を隠す生活に。
当時、長女は不良生活だったため、父親が絞め殺した、という自供内容でした。
担当弁護士は黒木瞳ですが、小林薫は何かを隠している様子。
小林薫の次女は両親を連絡を取りたがるも、本人たちの意向で連絡先を教えず。
独自に調査を開始し、少年がナゼ小林薫の記憶に触れたか、を調べ、保育施設を訪問しますが、会長から門前払い。
その後、次女と面会し、両親が隠そうとしている謎に気づきます。
小林薫と面会し、長女の彼氏から16年間脅迫されカネを払っていたことを聞かされます。
しかし、彼氏の名前も住所も一切知らない、と。
彼氏の本名は長女の交友関係から発覚。
当時、その彼氏と長女をリーダーで、仲間だった女性でしたが、彼らの仲間にレイプされて以来、関係が遠のいた、と。
彼氏は金子ノブアキで、すでに現在、自宅に女性を監禁中でした。
猟奇的な金子ノブアキは変質者として刑務所に入っていた時期もあり、精神的に病んでいる母親も下僕扱いで、母親も息子に反抗できません。
そして、保育施設の会長は伯父にあたり、伯父は保育施設を運営する体面上、身内に前科の変質者がいるとは知られたくないため、カネだけ援助していました。
仲間由紀恵が金子ノブアキ宅に侵入すると、監禁されていた女性が殺害された直後で、血痕や血のついたハンマーなどがありました。
次女が次のターゲットになる可能性があるため、そのために小林薫は次女と縁を切ろうとし、仲間由紀恵たちも彼女に注意喚起します。
伯父にカネをせびる金子ノブアキですが、強く突っぱねた伯父を殺害。
女性監禁の容疑でついに捜査が始まり、金子ノブアキは仲良くなっていた少女をさらい、行方をくらませます。
次女から最後通告(知っていることを警察に話せ、でなけりゃ縁を切る)と受け、小林薫は警察に行き、金子ノブアキの所在を伝えました。
伯父の別荘に少女と見を隠していた金子ノブアキですが、帰りたいという少女を刺し殺そうとした瞬間、警察に包囲され、逮捕されました。
別荘の敷地から二体の遺体が発見されます。
1体はつい最近まで監禁していた女性。
そしてもう1体。
小林薫は全てを仲間由紀恵に打ち明けます。
16年前、長女は金子ノブアキとドライブ中に女性を轢いてしまい、顔を見られたから別荘に生き埋めにしてきた、と帰宅。
そんな長女を絞め殺したのは、小林薫でなく母の松田美由紀でした。
そして床下に埋めます。
両親は金子ノブアキに長女殺害の弱みを握られ、逆に女性轢き逃げ生き埋めの弱みを握ったわけです。
そのため金子ノブアキは次女に手を出せなかった、と。
時効の16年が経過すると、金子ノブアキは「次女を僕にくれ」と言ってきたため、次女だけは救いたい両親は、火事のタイミングで床下の件だけを自白した、ということでした。
自分たちの弱みだけを世間に公表し、次女を救おうとしたわけです。
『模倣犯』事件でトラウマになっていた仲間由紀恵は、再び刑事事件ライターとして活動を始めようと決意してエンディング。
楽園 上 (文春文庫)
ずーっとシリアスな場面が続くドラマですが、仲間由紀恵が丸メガネをかけると、「お前のやった事は、全部お見通しだ!」と言いそうで、そこだけは個人的なツボだったんですけど 笑。
社会の闇を描いた作品ですけど、ホント、うまく描写してますね。
全ては対岸の火事ではなくて、すぐそばにあることです。
女性の悲鳴が聞こえても何も行動しない近隣住民、社会的地位を優先してカネだけで解決を図ろうとする富裕者、二人の子のうち片方だけに愛情を注ぐ親たち、その注ぐ愛情の選択を間違ってしまう人たち。
色んな人の色んな選択が間違って、暗く悲しい事件になってしまう。
小林薫と松田美由紀の演技力がドラマの暗さを一段と際立たせていました。
『楽園』、夢や希望といった言葉とはかなりかけ離れた、重く暗いドラマですが、色んな闇が重なり合った「真っ暗闇」が垣間見える稀有なドラマだと思います。
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