スポットライト 世紀のスクープのあらすじネタバレ感想
映画『スポットライト 世紀のスクープ』を鑑賞しました。
昨年のアカデミー賞で作品賞を受賞した映画です。
ボストン・グローブ紙が虐待神父の存在と隠蔽していた教会をスクープした実話。
主演はリーダー記者を演じたマイケル・キートン。
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地方紙のボストン・グローブに新局長としてリーヴ・シュレイバーが着任します。
彼は、特集記事「スポットライト」で過去2回しか取り上げられていない、神父が30年に亘って80人の子供を虐待していた、という記事を、なぜもっと取り上げないのかと気になっていました。
神父の名前がゲーガンだったことから、ゲーガン事件と呼ばれています。
スポットライトは4人の記者が担当していて、そのリーダーはマイケル・キートン。
彼らは、ボストンには多くのキリスト教信者が住んでいるため、神父や教会の悪行記事を書くことにはためらいがありました。
しかし、結果的にはゲーガン事件を追うことに決定します。
80人の被害者を担当した弁護士に話を聞くと、彼は教会に監視されていて、いつ弁護士資格を剥奪されてもおかしくない、と最初は取材拒否するも、担当記者のマーク・ラファロの地道な説得に耳を傾けるように。
別の2人の記者は聖職者虐待被害者の会の代表に取材。
すると、5年前にボストン・グローブ社に告発記事を送ったものの無視されていた、と。
しかし今回の取材に応じてもらえ、彼自身が少年時代に神父から虐待を受けたこと、神父は相手が子供であれば男女問わなかったこと、子供にとっては神様である神父のため最初は嬉しいことだが服従するうち精神がおかしくなり信仰を失い自殺やドラッグに走ってしまうことなどを打ち明けます。
さらに、ボストンだけで性的虐待神父が13人もいるためボストンに限った話ではなく、バチカンを背景とした世界的な問題ではないかと提言します。
記者4人は被害者のインタビューを重ねていきます。
それぞれが悲惨な虐待を受けていた被害者たちの声を聞きます。
そして示談で仲介する悪徳弁護士の存在や教会が主導して神父たちの悪行をもみ消していたことも明らかに。
記者たちは神父の年鑑を調べ、病気療養という名目がもみ消しにあたると推測し、13人の虐待神父をリストを作成しますが、被害者の一人は、神父全体の6%が小児愛者だと言い、虐待神父はもっと多いハズだ、と。
その計算式ではボストンだけで90人もいることになります。
さらに調査を進め、虐待神父は87人にまで増えました。
そのリストを悪徳弁護士に突きつけ、何人示談にしたのか、と詰め寄ります。
しかし弁護士は何年も前に新聞社にボストンだけで20人もの名前が記されたリストを送ったといい、後日、悪徳弁護士は自身が示談した45人の神父のリストを送ります。
新聞社は、神父のリストを記事にするのではなく、対象を教会にしようと方針決定し地道な証拠集め取材。
隠されていたゲーガン事件の証拠文書が、ある裁判によって公開されることを知り、入手できれば教会の闇が明らかになるはず。
しかし9.11同時多発テロが発生し、報道は全てそちらに注力せざるをえず、さらに教会は多くの信者に向けて哀しみの声明を発表しています。
記事とならない日が続き、ある日、証拠文書が閲覧可能な状態となり、判事からも暗に圧力がかかりますが、記者は相手にしません。
その証拠文書には、枢機卿など教会上層部が関わっていたことが明らかになる手紙も含まれていました。
すぐに記事にしたい記者と、教会を対象にしたいリーダーは衝突するも、教会を追うことに蹴って決定。
多方面からの圧力に耐えながら取材し、ついに記事に。
新聞社へは電話が殺到し、黙っていた被害者も声を上げる力になったのでした。
そして虐待が判明した多くの都市が字幕で流れエンディング。
静かで重い映画でした。
たぶん作り手が代われば、もっと派手に演出されたのでしょうが、淡々と作り込まれた感じがする映画です。
カトリック教徒にしてみればこんな大事件は無いというぐらい大きなニュースですが、僕は全く知りませんでした。
なかなか宗教的なことって発言しにくい世の中ですけど、あえて言わせてもらえば、キリスト教もイスラム教も日本のいくつかの宗教も、唯一神を信仰する宗教ってロクなことしないな、と。
神の名のもとに、服従(あるいは信仰)する人を騙んだなぁ、と。
実際はもっと、かなりの圧力があったのであろうと想像できます。
『スポットライト 世紀のスクープ』、ジャーナリズムの正義、というよりは、宗教ってコワイなぁ、という感想が強く残る映画でした。
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