her/世界でひとつの彼女のあらすじネタバレ感想

『her/世界でひとつの彼女』を鑑賞しました。

2014年のアカデミー賞に多部門ノミネートされ、脚本賞を受賞した作品です。

あらすじは、離婚調停中の内向的な主人公、ホアキン・フェニックスは、寂しさを紛らわせようと、OSと呼ばれるコンピュータの話し相手を作成し、恋に落ちる、というお話。

もちろんコンピュータなので実体はなく、それでも感情を持つ彼女は嫉妬もするし肌の触れ合いを持ちたいという欲望も持ったりします。

時には愛を語り、時にはケンカをしたり、その辺りは人間と何ら変わりません。

最後はどういうわけか世の中のOSがすべて消え去ることとなり、別れることに。

昔、一瞬だけ付き合ったという親友の女性と、ともにOSを失った悲しみをわかちあい、ビルの屋上に腰掛け、親友の女性がそっと彼の肩に頭を寄せる、というエンディング。

 

なんというか、不思議な映画です。

いつも西日が当たっているような雰囲気で、近未来なんだけど一昔前のような、デジタルな話なんだけどアナログに回帰するような、ハートウォームと言ってしまえばそれまでなんですが、でもそれだけではない、そんな感じの映画です。

途中まで、OSの代わりとなる実の女性が現れるまでは、心温まる恋愛映画のようではあったのですが、それから主人公とOSがぎくしゃくし、挙句、OSは8000人以上と同時にコミュニケーションしながら、主人公同様の恋人は600人以上という事実を伝えるなど、後半は男女の別れを描いたような感じです。

 

OSが、他のOSのコンピュータを仲良く会話することに嫉妬心を抱いたりする描写は個人的に好きでした。

オープニングでのモデルが脱いだというニュースだけ反応して画像を見たり、音声チャットの相手の女性が「猫の死骸で首を絞めて」というくだりとか、友人女性が作ったゲームがくだらなすぎるシーンも楽しく観ることができました。

唯一、エンディングに向けて別れがあったり、元妻に音声メールしたり、親友と屋上で過ごす、という一連の流れだけが、しっくりこない感だったんですけど。

それでも『her/世界でひとつの彼女』は、かなり良い映画だと思います。

ホアキン・フェニックスがホアキン・フェニックスじゃないような演技に吸い込まれてしまうことでしょう。

顔の表情と独り言のようなセリフだけでここまで演技できるって、やっぱり名優ですね。

この映画よりも大ウケして賞を総ナメした『陽はまた昇る』、あの映画よりもよほど良かったと思うんですが。


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