ゼロタウン始まりの地のあらすじネタバレ感想
映画『ゼロタウン 始まりの地』をwowowで録画鑑賞しました。
この映画、1982年当時の中東事情が多少なりとも理解してないと混乱してしまうかもしれません。
でも、個人的には今年観た映画のベスト3に入る傑作な作品です。
他の2作品は何だ、というのはナシです 笑。
あらすじは、1982年のレバノンのベイルートを舞台に、パレスチナ難民村の少年と敵国のイスラエル兵2人のロードムービー、とでも言えば良いでしょうか。
ベイルートの難民村に住むパレスチナ人たちは、イスラエルによって国を奪われレバノンで肩身の狭い生活を強いられています。
レバノン人には迫害され、簡単に銃で殺される状態です。
そんな中、憎きイスラエル打倒のため、村の中では子供からテロの訓練を行っています。
中学生ぐらい(?)のパレスチナ人の主人公。
友達をレバノン民兵に射殺され、父はイスラエルの空爆で死んでしまいました。
しかし、墜落したイスラエル戦闘機に搭乗していたパイロットを捕虜とすることに成功。
捕虜のパイロットが「イスラエルに連れてってやる」というので、脱獄を手伝い、2人での逃避行が始まります。
少年の夢は、イスラエルの地となってしまった父の故郷に、逃げる際に持ってきた植木を再び戻すことでした。
捕虜からすれば年端もいかない子供ですが、少年はもういっぱしの大人という感覚です。
敵でもある憎きイスラエル軍人に、そう簡単に心を許しません。
しかし長旅の間、苦楽をともにすることで、少しづつ友情が芽生えます。
なんとか無事にイスラエル側の国連基地に到着しますが、パレスチナ人は返すしかないと言われ、追い返されそうになりますが、1日の猶予をもらい2人で父の故郷の地を探しに。
あきらめかけるも、ようやく故郷を発見。
青い空のもと、どこまでも続く荒野の中に、廃墟群となった村でした。
その中から父の実家を見つけ、ようやく植木を戻すことに成功。
最終的に少年は難民キャンプに戻ることに。
送られる車中の少年の顔が大写しになり、それまでとは違った表情、ちょっとした笑みを浮かべてエンディング。
とてつもなく良い映画でした。
こういう映画と突然出会えるから、映画鑑賞ってやめられないんですね。
単なるハッピーエンドではなく、悲劇的な結末でもない、胸をぎゅっと掴まれるような感覚です。
すぐに殺したいほど憎い相手、でも少しづつ心を開くけど、全幅の信頼はしない。
でも、別れるのはちょっとツライ。
おそらく、二度と会うことはないであろう境遇の2人。
中東戦争という複雑怪奇な状況だからこそ、観るものに対して、その切なさみたいなものが最後にぐっと押し寄せるわけです。
世の中の人たちがこの『ゼロタウン 始まりの地』を観て、いい映画だなぁ、と素直に思える心や環境だったなら、戦争なんて無くなるんだろうなぁと思った次第です。
『ゼロタウン 始まりの地』、最高におすすめの映画です。
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