リンカーンのあらすじネタバレ感想
一昨年のアカデミー賞でダニエル・デイ=ルイスが主演男優賞を獲得した『リンカーン』を観ました。
個人的にエイブラハム・リンカーンは、「人民の人民による・・・」のゲティスバーグの演説、南北戦争、奴隷制度撤廃といった用語と絡めて知っていただけです。
映画では、1865年1月の1ヶ月間に焦点を当てた作りとなっています。
南北戦争が続き、1月末日に奴隷制度撤廃の法案「修正第13条」を下院で可決すること、更に南北戦争終結を目指します。
映画を観て知ったのですが、奴隷制度撤廃は全然キレイごとではなかった、ということです。
リンカーンは共和党ですが、下院では辛うじて過半数でした。
しかし、法案可決には全体の3分の2以上の賛成が必要です。
そこには対立する民主党議員から票集め、説得工作など、かなり泥臭い動きがありました。
また、リンカーン自身は、とにかく可決と戦争終結に向けて、まさしく全身全霊をかけていた、とも言えます。
政治のみならず、戦争、家族の問題など、多くの悩みにぶつかります。
実際のリンカーンを映像として見たことはありません。
おそらくダニエル・デイ=ルイスは史実に忠実に演じたものと思われます。
長身だけど姿勢は決して良くなく、やや猫背な感じ。
健康体というよりは、どこか病気でも患っているかのような動作。
猫背姿勢で下から上目遣い気味に相手と対峙したかと思えば、あまり相手の目を見ないシーンも多々あります。
自分の言葉というよりは、歴史や偉人の言葉を多く引用します。
僕にとって今後のエイブラハム・リンカーンは、ダニエル・デイ=ルイスが演じたリンカーンが記憶されていくことになるでしょう。
リンカーンの言葉には含蓄がありました。
とても良い言葉が多いのもこの映画の特長でしょう。
個人的には2つ。
「民主主義は無秩序ではない」
これは南部の和平団との交渉のときに使った言葉です。
無秩序という言葉が戦争の対義語であることを思い出させてくれました。
むごたらしい戦争が国民同士で行われた愚かしさを現した言葉です。
「平和の訪れが処刑ではいけない」
和平後に南部の司令官達の処遇を巡っての発言です。
戦争犯罪人扱いとするならば、極刑で対応するところを、この言葉をもって、無罪放免とさせたのでした。
日本ではちょうど幕末の時代です。
歴史に「もし」があるとするならば、開国の志士たちがリンカーンと話しができていれば、あるいはルーズベルトではなくリンカーンが第二次大戦中の大統領だったら、と思うと、別の解決策もあったのではないかと想像できます。
しかし、国内で南北戦争が起きていながらも、黒船を寄越すアメリカの余裕というか外交の巧さというか、国力の差を痛感します。
でも、南北戦争真っ盛りで法案可決の大詰めでも、リンカーンは頻繁に劇場に足を運んでいましたが、今の時代なら間違いなくやり玉にあげられるなぁとも思いました。
いずれにしても、歴史を学ぶ題材としても相応しいと思える映画でした。
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