フルームのダウンヒルとコンタドールの棄権と~ツール・ド・フランス2016
ツール・ド・フランスは第9ステージまでの一週目のスケジュールを消化しました。
全ステージが観どころ十分だったのですが、何と言ってもピレネー三連戦の終盤、第8、第9ステージが今週のクライマックスでしたね。
第8ステージでは優勝候補筆頭であるチームスカイのクリス・フルームが鬼気迫るダウンヒル!
実況も解説も、何度も「真似しないでください」と言っていたそのヒルクライムは、自転車のトップチューブに座り、顔は限りなくハンドルの位置まで下げ、両肘は体にピッタリ合わせ、その上でペダルを漕いで急坂を80km/hぐらいで下っていくという、常人離れした走りでした。
フルームはこのステージで一気に総合首位に立ち、マイヨ・ジョーヌを着ることとなりました。
第9ステージでは、優勝候補の一角とされていたティンコフのアルベルト・コンタドールがまさかのリタイアとなったステージです。
第1ステージでの落車が後を引いてしまい、その後のステージでも集団から遅れてしまうシーンが何度か見られたコンタドール。
なんとか一週目を乗り切って、休息日を迎え、終盤での奮起を期待していたのですが、残念ながらリタイア。
このステージ当日は微熱もあった、との話でもあります。
一時代を築き、一旦は今年で引退を決めたコンタドールですが、引退撤回して来年以降も選手生活を続行するとのこと。
ティンコフというチーム自体も今年で解散が決定しており、ティンコフの黄色いウェアで活躍するコンタドールの雄姿も見納めとなる今大会でした。
リタイアの直前にはチームカーと並走してチーム関係者と話し込む姿が映しだされたのですが、その時点では集団からも引き離され、正直、リタイアを前提に話をしているのかなぁ、と容易に想像はできました。
そして何分か後、映しだされたのは、停車するチームカー、自転車を降りるコンタドール、助手席のドアを開け、カメラに向かってバイバイと手を振り、両手のひらを上に向け肩をすぼめる仕草をして、チームカーに乗り込む姿でした。
なんというか、コンタドールの今大会が終わってしまった、というより、もっと大きな一つの区切りの場面を見てしまった感覚です。
おそらくその雄姿は来年も観ることができるのですが、とても寂しいシーンとなりました。
レースはそんなこと関係なく進み、最後はサバイバルに。
ステージ勝利こそ独走逃げ切りでジャイアント・アルペシンのトム・デュムランが優勝したものの、総合争いはますます熾烈に。
各チームのエース級が残り、次々とアタックを仕掛けるも、フルームはそのほとんどをチェックします。
何と言っても熾烈だったのが天候。
ずっと快晴で40度まで上がった気温が、最後の頂上に向けて急変。
ゲリラ豪雨のようなバケツをひっくり返す勢いの雨、そしてパチンコ球大のヒョウ!、気温は10度を切ったそうです。
この天気の中での争いでした。
結局はフルーム集団から抜け出せた選手はなく、フルームの盤石さがより際立ったステージとなりました。
しかし、ただ一人、この日も昨日も動くことはなかったモビスターのキンタナ。
ぴったりフルームの尻だけをマークしていました。
キンタナがいつ動くのか、そのときフルームはどう対処するのか、が今後の見どころになっていくことでしょう。
ツール・ド・フランス2016、まだまだ目が離せません。
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