メキシコ代表と出会った2002W杯の思い出
開催中のロシアワールドカップ、グループリーグ一回戦でメキシコ代表が前回覇者ドイツに1-0で勝利しました。
世間では「波乱」とか「大番狂わせ」とか騒がれていますけど、「勝ってもおかしくない」と思っていたし、メキシコの勝利を願って観戦していました。
そして鮮やかなカウンターで点が決まったとき、DFラインの縦パスが入った時点で身を乗り出し、ワンタッチでロサノにボールが渡った瞬間に得点を確信しました。
◆新幹線がメキシコサポーターにジャックされる
2002年の日韓大会、新潟で行われるグループリーグのメキシコ対クロアチアをナマ観戦しました。
大宮から上越新幹線に乗って新潟へ向かったのですが、東京方面から到着した新幹線は、メキシコサポーターで埋まっていました。
正直、ヤだなぁと思ったものです。
もちろん自由席だったので空席などなく、「メヒコ!」とすでにどんちゃん騒ぎのような応援が始まっていました。
僕は指定席列車の車両連結部に立って新潟まで行こうとしてました。
車内アナウンスのマイクをジャックして、メキシコの応援をする始末。
指定席車両から一人の外国人がきて、空いてる席に座れば?と言われます。
聞けば、イタリアのスポーツ紙、コリエレ・デロ・スポルトの記者だそうな。
セリアAのレジーナへ移籍が決まっていた中村俊輔の名をあげ、代表落選したことを残念がっていました。
そして、イタリアは同じグループで、その日の夜に鹿島スタジアムで試合の予定があるのに、自分はそっちに取材行けないことも残念がっていました。
こちらはすごく片言の英語、というか中学校英語レベルだったのだけど、なんとか一生懸命、会話をします。
人生で初めて外国人と英語で長話をしたこともあるし、ずっと続くメキシコサポーターの声もあって、気持ちが大きくなったのでしょう。
指定席だけど空いてるからいいか、とサラリーマンの自分にとって珍しくマナー違反することに。
乗客が来たときに譲ればいいか、と。
座っていたら、メキシコのTVクルーが代わる代わる乗客にカメラとマイクを向ける姿が。
そして鶴次郎のところにもやってきて、「笑顔でカメラに向かってオラ!と言ってね」と促されます。
ぎこちない笑顔だったのか、発音が悪かったのか、4回ぐらい撮り直しさせられました。
◆新潟のホスピタリティに心打たれる
新潟駅が近くになると、車内アナウンスのマイクを持ったメキシコサポーターが片言の日本語で「うるさくてゴメンナサイ」と。
新潟駅に到着しホームに出ると、釜本邦茂氏も同じ新幹線だった様子。
日本人たちは「あ、カマモトだ」的に遠巻きに眺めていましたが、すっかり気持ちが大きくなっていた自分は、握手を求めに行き、大きい手で握手してもらいます。
すると、遠巻きに眺めていた日本人たちも、後に続くように握手を求めていきました。
駅の改札を出ると多くのボランティアスタッフが、シャトルバスまで誘導してくれました。
そしてスタジアムまでのシャトルバス、なんと信号を止めて警察官が誘導してノンストップで走行します。
帰りの誘導、駅での誘導も同じように多くのボランティアスタッフを目にし、新潟の「おもてなし」精神にすごく感謝したこと、新潟が大好きになった大きな理由の一つとなった出来事です。
◆メヒコ、メヒコ、ラーラーラー
苦労して入手したチケットでしたが、2階席はガラガラ。
メキシコサポーターのほとんどは1階ゴール裏に陣取っていましたが、ごく少数だけ2階ゴール裏に。
そして5~6名でしょうか、緑色のホント小さなビキニを来たメキシコ女性が「メヒコ、メヒコ、ラーラーラー」と試合中ずっと叫んでいました。
その応援は、その後ずっと頭に残り、TVでメキシコを見るたびに頭の中でこだましています。
当初、この試合を観戦するにあたり、クロアチア代表を応援しようと思っていました。
スーケル、ボクシッチ、プロシネツキ、コヴァチ兄弟、そして中田ヒデのチームメイトのラパイッチなど、著名な選手が多くいたからというミーハーな考えです。
しかし新幹線でのメキシコサポーターのアツさ、ユーモアさ、会場での応援の熱気、フードコートで気軽に親指を立てて挨拶してくれる身近さもあって、試合開始時にはメキシコを応援するように。
そして試合は見事に1-0でメキシコが勝ったのでした。
これがメキシコ代表を応援する一番最初のきっかけです。
しかし、それまでにメキシコの選手って、この大会には控えとなっていたGKカンポスぐらい。
今になって思えば、コリエレ・デロ・スポルトの記者と会話したり、メキシコのTVにオラと挨拶させられたり、新潟のおもてなし、メキシコサポーターのアツさに触れたからこそ、世界の広さというか、日本の小ささを知るきっかけになり、今では一人で海外旅行に行ける礎みたいなものになったのかなぁ、と。
この後も3試合ほどナマ観戦して、エクアドルサポーター、アイルランドサポーターとも触れ合えたことも大きいです。
そう考えると、来年のラグビーワールドカップで、少しだけ人生が良い方向に変わる人が増えれば、良い機会なのかなぁと思います。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。